傲慢と善良って小説、ちょっとヤバすぎじゃないですか?

ひさしぶりに面白い本を読んだなー。

 

傲慢と善良。

 

内容知らずに読んだけど、婚活の話でした。

 

何がすごいって、とにかく登場人物のセリフが胸に刺さる、刺さる。

 

刺さりまくって血だらけです。

 

婚活したことのある僕にはとくに。

 

よくここまで洞察できるな。

気持ちを言葉にする勇気が異次元すぎる。

 

僕自身、婚活を経験しました。

 

当時の自分は、結婚できたらいいなと漠然と思ってはいたものの、それは自然な恋愛の延長であるべきで、「婚活」という選択肢はなかったのです。

 

おそらく「自分は婚活をしなきゃ結婚できないような男ではない」という傲慢な気持ちがあったのかもしれません。

自分はちょっとした何かの間違いで今の状況にいるだけ。

本当だったらとっくに結婚できている人間なのだ。

心のどこかでそう考えていたのでしょう。

 

婚活中は自分の中のさまざまな感情と向き合うことになります。

 

楽しい、嬉しいというハッピーな感情ばかりではなく、自分の心の狭さ、弱さを改めて思い知ることだってあります。

 

知ってたけど認めたくない。できることなら、心の奥底に沈めておきたかった自身の心の闇を、つまびらかに炙りだされてしまった気がします。

 

作者は、僕のそんな気持ちの根底にある何かを絶妙な言葉で言い当ててくるのです。

 

それも執拗に。

 

婚活してる人にはおすすめしません。

 

僕がせっせと相談所に通っていたころに読んだとしたら、こんな小説は楽しめなかったでしょう。

 

婚活を終えて、いまは穏やかな結婚生活を楽しんでいる「安全地帯」にいるからこそ、のんきにこんなレビュー記事を書いていられるのかも。

 

ベストセラー小説って、期待値が高いだけに読み終わってがっかりする場合もあるけど、これは期待を超えてきました。

 

ありがとうございました。